自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

下重暁子「極上の孤独」

「人間、誰もが最期は一人。孤独を愉しむことを知っていれば、一人の時間が何ものにも代えがたく、人生がより愉しくなると私は考えている」

「最後が孤独死であったとしても、本人にとっては充実した素晴らしい人生だったかもしれない」

女優の大原麗子さんの衣裳部屋には「孤独な鳥の五つの条件」という十六世紀スペインの詩人の詩が貼ってあったという。

「一、孤独な鳥は、高く高く飛ぶ。二、孤独な鳥は仲間を求めない、同類さえ求めない。三、孤独な鳥は、嘴を天空に向ける。四、孤独な鳥は、決まった色をもたない。五、孤独な鳥は静かに歌う」

 

「孤独を知る者のみが、自分の人生を知り、しずかに自分の歌を歌うことができる」

山口百恵が引退直前のインタビューで美空ひばりに本質的に似ているのでは、と聞かれ、こういった。

「はっきりいって、似てほしくないですね。・・あそこまで孤独になってしまいたくない」

「孤独を知っている人だからこその言葉だ。多分子供の頃から百恵は孤独だったのだろう。誰も助けてくれる人のいない中で、耐えることを知り、自分を作りあげてゆく強さを身につけている」

 

「ひばりには歌しかなかった・・その壮絶さが、滲み出ていた。喝采に孤独はつきものである。孤独に耐えてすっくと立つ姿が、人々の喝采のうけるのである」