フランス風ユーモアのミステリー
フランス、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督、106分
1946年、パリ、下町育ちの歌手ジェニーと夫のピアノ奏者で嫉妬深いモーリス。階下には友人の女性写真家ドラのスタジオがあった。
そこに成金で女好きのブリニョンがやってくる。色っぽいジェニーに野心をもち、映画の仕事を世話しようとする。そして翌日に待ち合わせの約束をする。
モーリスは嫉妬に駆られてブリニョンの家に銃を持って乗り込むが、彼はもうすでに死んでいた。彼は慌てて逃げだす。
モーリスが乗り込む前に、ジェニーは酒ビンでブリニョンを殴っていた。「殺してしまった」と写真家のドラに打ち明ける。ドラはジェニーが現場に残したマフラーを持ち帰り、ビンについた指紋を消す。
警部アントワンが捜査に乗り出す。彼は冴えない中年男だったがコツコツと事実を積み重ね真相に近づいてゆく。
ミステリーと言いながら、戦後の芸人や芝居小屋の雑然とした風景がたっぷり描かれ、それが魅力的な作品だった。人間模様と当時の歌曲と風俗の映画としての面白さも堪能できる。
ヴェネチア映画祭監督賞受賞作