ある時は穏やかに、ある時は荒々しく流れる
アメリカ、オットー・プレミンジャー監督
屈強な男マットが大木を斧で切っているオープニングシーンから、酒場の歌手ケイが赤い靴を投げ捨てるラストシーンまで、何度も観たのでよく覚えている。
1875年、マット・コルダーはゴールドラッシュにわく町にやってきた。9歳になる息子マークを迎えに来たのだ。マットは刑期を終えて出所してきた。
酒場の歌手ケイとその恋人でイカサマ賭博師のハリー。ほとんどがこの4人でストーリーは展開してゆく。
ハリーに馬と銃を奪われたマット、マーク、ケイの3人は「帰らざる河」と呼ばれる激流をいかだで下ってゆく。彼らをインディアンたちが追ってくる。
ラストシーンの酒場、マットがケイをさらってゆく。「どこに連れてゆくの」「家だ」
「♪ある時は穏やかに、またある時は荒々しく流れる・・♪」河の流れはどこか人生に似ている。
西部劇「大砂塵」の主題歌「ジャニーギター」と同じようにラストシーンでケイ(マリリン・モンロー)の歌う主題歌「帰らざる河」に酔ってしまう。
傑作でも名作でもないが、なぜかノスタルジックな気分になる娯楽作だった。古き良き時代の西部劇の香りを運んできた愛すべき映画だ。