白と黒
黒人のクリスと恋人で白人のローズ、二人は郊外にあるローズの高級住宅地の実家に挨拶にいく。両親はクリスを温かく迎えてくれた。父親ディーンは脳神経外科医、母親ミッシーは精神療法医だった。二人の使用人は黒人だったがどこかおかしい態度だった。その日の夜、クリスは気がつかないうちにミッシーに催眠術にかけられる。
翌日、パーティがひらかれ多くの裕福な招待客がくる。白人ばかりのなかになぜか黒人の男が混じっていた。クリスはローズの実家に訪れた時から何とも言えない奇妙で不気味な雰囲気を味わっていた。わけが分からない居心地の悪さを感じていた。
「永遠の生命を追い求める人間の愚かな夢」と「ある生命体が自分を支配する恐怖」というこの映画のアイディアは、いくつかのホラーやSF映画などでも使われている。
でも切り口がユニークで、白人と黒人の人種対立、憎悪の物語を思わせてそれが予想外の地点に着地するという意外性が狙いだろう。それでもなお人種間の葛藤、差別という味わいがどこかに残っていて、おそらくこれがアメリカ社会の深層なのだろう。
SF、サスペンス、ホラー、ヒューマンドラマ、ブラックコメディ、それらが織りなす奇妙な味わいの物語で、爽快感だけでは終わらずに口の中に苦い後味の残る映画だった。