自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

荒野にて 2017年

15歳の少年の遍歴

イギリス、アンドリュー・ヘイ監督

オレゴン州ポートランド、父親と二人で暮らす15歳の少年チャーリーは学校にも行かず、家計を助けるために競走馬の世話をする仕事をしていた。

父親がトラブルで亡くなり、天涯孤独となったチャーリーは殺処分されそうになっていた競走馬リーン・オン・ピートを連れ出し、ワイオミングに住む伯母マージーの元を目指す。しかし伯母の家を知らなかった。

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馬主のデル、女性騎手のボニー、ホームレスの男と女、無銭飲食をした食堂のウェイトレス・・様々な人たちと出会う。太っていることを男たちにバカにされている娘にチャーリーは「どうして逃げ出さないの」と訊く、娘は「逃げ出す場所がないと身動きがとれないの」

 

父親に死なれ、話し相手だった競走馬のピートも事故死する。チャーリーはお金も住むところもない孤独な少年になってしまう。法を破りながらも彼は伯母の住む場所を目指す。そこにしか「逃げ出す場所」はなかった。

天涯孤独になった淋しさと不安でいっぱいのチャーリー、しかし映画は気負うことなく荒野をすすむチャーリーの姿を淡々と描いてゆく。過酷な旅であるはずなのにどこか彼は自由だった。

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ラストシーンはファーストシーンと同じようにランニングをするチャーリーの姿。彼はふと周りを見渡すとだれもいなかった。もう父親もピートもいない。でもチャーリーは一人になっても人生を走り続けるだろう。

 

私たちも走り続けたらどうだろう。今年もよろしくお願いします。