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映画に関する短いエッセイとその他

報復の街をあとに ペドロ12歳の旅立ち

遠い国から届いた一本の映画

2017年 ベネズエラ、チリ、ノルウェー 82分

グスタブ・ロンドン・コルドバ監督

南米のベネズエラは世界で一番治安の悪い国だと言われている。ゴンザレスと12歳の息子ペドロは首都カラカスで貧しい暮らしをしていた。

ペドロが友達のジョニーと遊んでいると、スラムに住む少年に銃で脅される。ペドロはその少年をナイフで殺してしまう。殺された少年の家族に報復されるのを恐れて、ゴンザレスはペドロを連れて街を逃げ出す。

ペドロは放任主義の父親に反抗的で親子の情愛などなかった。

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お金もない二人は働きながら逃げてゆくが、ゴンザレスは働き先で酒を盗み、追い出されてしまう。やがてペドロの身代わりに友達のジョニーが殺されたことを知る。初めは「あいつらが怖いのかよ」といきがっていたペドロも事態の深刻さに呆然とする。

 

二人はお金もなく、廃材で囲いをつくりそこで眠る。朝、目が覚めたペドロは寒々とした風景を見渡す。これからどこに行けばいいのだろう。

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子供たちの殺伐とした日常は少年ギャングを描いたブラジル映画シティ・オブ・ゴッド」を彷彿とさせた。

 

ベネズエラ映画を観るのは初めてで、完成度はもう一つだったが、でも遠い国から届いた一本の映画に、これからの期待をこめてエールをおくりたい。

サンセバスチャン国際映画祭新人監督賞、リマ映画祭作品賞。