遠い国から届いた一本の映画
グスタブ・ロンドン・コルドバ監督
南米のベネズエラは世界で一番治安の悪い国だと言われている。ゴンザレスと12歳の息子ペドロは首都カラカスで貧しい暮らしをしていた。
ペドロが友達のジョニーと遊んでいると、スラムに住む少年に銃で脅される。ペドロはその少年をナイフで殺してしまう。殺された少年の家族に報復されるのを恐れて、ゴンザレスはペドロを連れて街を逃げ出す。
ペドロは放任主義の父親に反抗的で親子の情愛などなかった。
お金もない二人は働きながら逃げてゆくが、ゴンザレスは働き先で酒を盗み、追い出されてしまう。やがてペドロの身代わりに友達のジョニーが殺されたことを知る。初めは「あいつらが怖いのかよ」といきがっていたペドロも事態の深刻さに呆然とする。
二人はお金もなく、廃材で囲いをつくりそこで眠る。朝、目が覚めたペドロは寒々とした風景を見渡す。これからどこに行けばいいのだろう。
子供たちの殺伐とした日常は少年ギャングを描いたブラジル映画「シティ・オブ・ゴッド」を彷彿とさせた。
ベネズエラ映画を観るのは初めてで、完成度はもう一つだったが、でも遠い国から届いた一本の映画に、これからの期待をこめてエールをおくりたい。
サンセバスチャン国際映画祭新人監督賞、リマ映画祭作品賞。