痛快マカロニ風ウエスタン
南北戦争の2年前、1859年 ドイツ人の元歯科医で賞金稼ぎのシュルツは黒人奴隷ジャンゴを自由にする。二人は「生死を問わず」のお尋ね者を探し出す旅に出る。
お尋ね者を殺しては賞金を稼ぐ。やがて二人はジャンゴの生き別れになっている妻を取り戻すため、ある計画をたてて大農園に乗り込んでゆくが・・。
「続・荒野の用心棒」「続・夕陽のガンマン」などからインスパイアされたタランティーノ監督のエンターテイメント映画。ストーリーもテーマ音楽も彼が愛したマカロニ・ウエスタンを彷彿とさせるものだった。
ただ違うのは奴隷制の残虐さが執拗に描かれ、社会性を帯びた西部劇に仕上がっていたことだ。銃撃戦だけが売り物の作品ではないが、でもその銃撃戦が実に痛快で、いたるところにカタルシスがある。突然、銃をぶっ放すシュルツのカッコよさも見ものだった。そして映画の王道である「勧善懲悪」の物語であるのは言うまでもない。
タランティーノ監督らしい「面白い映画」で、165分という長尺だがまず飽きる事はないと思う。
しかしそこにはかつての西部劇のような「開拓者魂」や「大いなる西部」はなく、生きるだけで精一杯の人間の暮らしと欲望が描かれる。
これからも西部劇はどんどん変化してゆくだろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
これが今年最後の記事になります。3月にヤフーブログから引っ越ししてきましたが、訪問していただいた人たちやコメントを残してくれた方々のおかげで続ける事が出来ました。ありがとうございました。