少年はアメリカを夢見る
19世紀末、飢餓のスウェーデンからデンマークに移住してきた年老いた父ラッセと少年ペレ。ラッセは「安売りはしない」と言いながらも働くところがなく、労働条件の悪い「石の農園」に雇われ、牛小屋に住む。
ラッセルはペレの前では大きなことを言うが、実際は気の弱い情けない父親だった。ペレの初めての友達ルズは私生児だった。
農場で働く中年男エリックは2年で金をためてアメリカに渡り、世界を征服する夢を抱いていた。ペレはその夢に憧れ、自分もいつかアメリカに渡るという希望を持っていた。しかし希望は次から次へと壊されてゆく。
農園の使用人のアンナは船主の息子ニルスと恋に落ちるが、身分の違いがあって結婚できなかった。アンナは嬰児殺しで逮捕され、ニルスは自殺する。
年老いて農園を出ていく気力のない父親を残してペレは農園を去ってゆく。
エンターテインメント性に少し欠けるが、大河ドラマの風格を漂わせ、完成度の高い作品だった。19世紀末のデンマークの自然風景や移民たちの暮らしを切り取った骨太の物語だった。