自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

街の野獣 1950年

追われる人生

アメリカ、ジュールス・ダッシン監督

 客引きのハリーは一攫千金を夢見る小悪党だった。夜のロンドン、借金取りに追われ、路地を逃げ回るハリーの姿から映画は始まる。

f:id:hnhisa24:20200416084856j:plain

恋人のメアリーに真面目に働くように言われても、ハリーは聞き入れずとにかく成功したかった。

ある日ハリーは伝説のプロレスラーであるグレゴリウスを丸め込み、興行主となることを思いつく。なんとしてでもプロレス興行で成功したいハリーは金策に走り回る。そんな彼にナイトクラブの経営者フィルが出資する。しかしそこには隠された思惑があった。

ところがグレゴリウスの息子でプロレス興行を牛耳っているクリストに、縄張りを荒らしたとして脅される。

f:id:hnhisa24:20200416084944j:plain

恋人のメアリーは今のままだと「わたしだけではなく自分自身をも破滅させてしまう」と心配する。実際その通りになると「どの女よりもあなたを愛した、でもあなたは心を開かなかった」と泣く。

 

「追われる人生だった。福祉局の係員から、ギャングから、父親からも」それがハリーの人生だった。だからこそ誰にでも認められるいっぱしの男になりたかった。

 ハリーは調子がよくてエネルギッシュで都会の夜にしか生きられない男だった。成り上がろうとした小悪党の末路を描いた映画だが、スピード感があってオープニングからエンディングまで一気に駆け抜けるような物語だった。

 

1992年にロバート・デ・ニーロ主演「ナイト・アンド・ザ・シティ」としてリメイクされた。