自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

キュクロプス 2018年

自主製作映画2本

日本 大庭功睦監督

妻とその愛人を殺した罪で14年間服役していた篠原は、刑事の松尾から真犯人はヤクザの若頭財前だと知らされる。財前の手下の西が密告してきたのだ。

事件当時、篠原はアルコール依存症ではっきりとした記憶がなかった。

 

出所して町に戻ってきた篠原は復讐を誓う。刑事松尾と密告屋西がその計画に協力する。そして篠原は西から銃の訓練をうける。なぜ二人は篠原の復讐に協力するのか、目的は何なのか。

意外な真相が徐々に明らかになってくる。

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ある夜、篠原はフラッと入ったバーで妻と瓜二つの女性に出会う。そのせいなのか、妻を救うことができなかったという悪夢に悩まされる。

キュクロプス」とはギリシア神話に登場する単眼の巨人のこと。単眼では見えない真相が複眼だと見えてくる。復讐に取りつかれて単眼になっていた篠原は真相に気づかなかった。真相を知ったとき、篠原は生きる気力をなくしてしまう。

 

二転三転するストーリー展開で派手さはないが韓国ノワール思わせる作品だった。「岬の兄妹」に続いて力強い自主製作映画に出会った。

とくに「キュクロプス」は資金が少なく、10日間で撮影したという。ぎこちなさはあるが、それを上回る映画製作への情熱があった。

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やがてしずかなラストシーンが映し出される。この終わり方は紛れもなく日本のフィルム・ノワールだと思った。不思議なことに「岬の兄妹」も「キュクロプス」もラストシーンは海だった。