自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

誰のものでもない

ダノス・タノビッチ監督に「ノー・マンズ・ランド」という作品がある。93年、ボスニア紛争下のボスニアセルビアの中間地帯(ノー・マンズ・ランド)に取り残された二人の兵士の物語だ。

ノー・マンズ・ランド」という言葉を初めて知った。

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手のひらのことを外科医は「ノー・マンズ・ランド」と呼んでいる。誰のものでもない土地、神も侵してはならない部分というわけだ。

進化してゆくプロセスで人間の手は並みの動物に比べ非常に発達した。とりわけ手のひらは微妙な感覚をもつ特別に進化した部分。ここを切ったり、縫ったりする時はよほど慎重に行わなければならないという。

 

数か月前、舌の裏に炎症がおこり痛くてものが食べられなかった。一時は舌ガンかもと疑った。一般の歯科では治療できなくて、口腔外科の専門医のいる医療センターの治療をうけた。

 

4日間、舌の裏に化膿止めの注射を打たれ、その上、4日間、抗生物質の点滴を続けた。一応、症状は治まったが、また再発するかもしれない。

抗生物質が効いている間(10日間ほど)は、舌がひりひりする。舌苔は取らなくても取りすぎてもいけないと言われた。舌はとても微妙なもので治療が難しいという。

 

手のひらだけではなく人の身体はすべて「ノー・マンズ・ランド」かもしれないと思った。