告解、ミサ、聖体
ポーランド、フランス、ヤン・コマサ監督
ワルシャワ、少年院に服役中の２０歳のダニエルは仮釈放される。彼は神の元で働きたいと願っていたが、トマシュ神父に前科者は聖職につけないと言われ、仕事先の製材所に向かう。
田舎町の教会で、冗談半分に「自分は司祭だ」と嘘をついてしまう。その町の司祭が留守の間、ダニエルは代理の司祭として勤めることになり、告解、ミサと司祭の仕事をこなしてゆく。
一年前、この町で７人が亡くなる悲惨な自動車事故があった。しかし献花台には６人の写真しかなかった。もう一人の男が酔っぱらって事故を起こしたと思われ、この町では埋葬できず、その男の妻は村八分になっていた。それでも被害者家族たちの苦しみが癒されることはなかった。
ダニエルはその事件のことを調べ始めると意外な事実が明らかになる。
権力者で町長、しかも製材所のオーナーが事件を蒸し返さないようにと圧力をかけてくる。
ある日、ダニエルと被害者家族たちが献花台の前で深呼吸をして、叫び声とともに苦しみを外に吐き出していた。それはダニエルの心の叫びでもあった。
彼は「赦しとは愛だ」と魂の救済を説く。神父と偽ることで本物の神父に近づいてゆく。
しかし彼にはもっと厳しい試練が待ち構えていた。
彼は聖なる者であり、人殺しでもあった。モザイク模様のような人の多面性を描いたサスペンスフルで迫力のある映画だった。
