自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

チョコレート 2001年

三つの墓

アメリカ、マーク・フォースター監督

ハンクと息子のソニーは刑務所の看守をしている。ハンクの父親も元看守で今は身体が不自由で家に閉じこもっていた。ハンクと父親は黒人を蔑視していたが、ソニーは父や祖父とは違い優しい性格だった。

 

黒人のローレンスの死刑が執行される日、ソニーは嘔吐してしまう。

ハンクは軟弱だといって厳しく叱る。ソニーは「僕が嫌いだろう」ハンクが「ああ、嫌いだ」と答えると「僕は愛していたよ」と言った後、突然、拳銃で自殺する。ハンクの母親も自殺していた。

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亡くなったローレンスの妻で黒人のレティシアは息子と暮らしていたが、家賃も払えずに立ち退きを迫られていた。ある夜、息子が車に轢かれてしまう。通りがかったハンクが病院に運んだが亡くなる。

夫と息子を亡くした黒人のレティシアと息子を自殺に追い込んだ白人のハンク、二人はいつしか一緒に暮らし始める。

 

偶然にもレティシアは夫の死刑執行にハンクが立ち会ったことを知り、呆然とする。しかし庭のハンクの妻と母親と息子の三つの墓に気づくと、彼の後悔と喪失感にレティシアは何も言えなかった。

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夜空の下、ハンクはアイスクリームをスプーンにのせてレティシアの口にもってゆく。

悲しみと燃えるものを内に秘めた静かな物語だった。