自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

キッチン・ストーリー 2002年

北欧の奇妙なユーモア

スウェーデンノルウェーベント・ハーメル監督

50年代にスウェーデンで実際に行われた「独身男性の台所における行動パターン調査」をノルウェーの田舎を舞台にしたコメディタッチのハートフルな映画。

左側通行のスウェーデンから右側通行のノルウェーにトレーラーでやってきた独身で中年男の調査員フォルケ、被験者に応募したイザックは後悔していた。なぜなら応募すれば馬が貰えると思っていたが、実際に貰ったのは馬の人形だったからだ。

 

台所に監視台を設置し、お互いに一言も口をきいてはいけないというルールがあった。一人暮らしのイザックの家を訪れるのは独身男性の友人グラントだけだった。

イザックは二階の床に穴をあけて自分を観察しているフォルケを反対に観察する。

いつしかフォルケとイザックは口をきくようになり、誕生日を祝うほど親密になる。グラントは二人が仲良くなってゆく姿をみて嫉妬する。

 

ノルウェー人のイザックが第二次世界大戦でのスウェーデンの中立政策を揶揄するちょっと辛口な言葉もあるが、ユーモアたっぷりにスウェーデンノルウェーの食べ物や文化の違いが描かれていた。そして台所シーンがやたらと多い不思議な物語だった。

 

やがて雪景色から緑と花の季節に変わってゆく。初春のようにほんのりと暖かくなる映画だ。