自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

パーフェクト・ケア 2020年

「奇妙な可笑しさ」の社会派サスペンス

アメリカ、J・ブレイクソン監督

法定後見人のマーラは認知症などで判断能力が低下した富裕層の高齢者たちの資産を管理し、彼らをケアしていた。

実は医師や介護施設と結託して高齢者たちから資産を搾り取っていた。合法的だが悪徳の後見人ビジネスだった。パートナーはレズ・フレンドの女性フランだった。

家族もいない孤独な資産家の老女ジェニファーに目をつけ、裁判所の決定書を見せて無理やり彼女を介護施設に収容してしまう。そして携帯電話を取り上げ、施設の中に閉じ込めてしまう。

 

ところが本物のジェニファーは1949年に死んでいた。では一体、彼女は誰なのか。「ジェニファーあなたは何者」とマーラは訊く。ジェニファーはマフィアのボスと繋がりがあった。

 

マーラは「フェアプレイじゃ何も手に入らない」「世の中は奪うものと、奪われるものがいる」と、アメリカンドリームを夢見ていた。

ジェニファーを救い出そうとするマフィアのボスが善人で、施設に閉じ込めておこうとする後見人のマーラが悪人というブラックユーモア。しかもボスにはそれほどの邪悪さがなく、むしろマーラのほうが偏執的な「お金の亡者」だった。

この逆転の構図が魅力のコメディを感じさせる作品だった。

 

ちなみにブレイクソン監督には「アリス・クリードの失踪」というとても面白い作品がある。