自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

コーカサスの虜 1996年

人生は短く、世界は狭い

カザフスタン、セルゲイ・ポドロフ監督

原作はトルストイの短編「コーカサスの虜

チェチェン紛争下、コーカサスの山岳地帯、ロシア兵のワーニャと准尉のサーシャはチェチェン側の待ち伏せにあい捕虜になる。村の長老アブドゥルはロシア軍の捕虜になっている息子と交換するために、二人を買った。

 

アブドゥルは二人に母親あての手紙を書かせる。ロシア軍の少佐に捕虜交換を承知させるためだった。いつしか捕虜の二人はアブドゥルの娘ジーナとロシア兵に舌を切られた見張り役の男ハッサンと打ち解けてゆく。

厳しい山岳地帯で伝統と因習のなかで生きるチェチェンの人たち。彼らの日常の中には生まれた時から戦争があった。素朴なチェチェン民族音楽愛国心を掻き立てる勇壮なロシア音楽。そして村の女たちのチェチェンダンス。

 

チェチェンの歌が聴こえる「♪生まれた時から この地で生きてきた 吹きすさぶ風に よそ者はおびえ去っていく‥♪」

チェチェン人の父親がロシアに寝返った息子を撃ち殺す。ヘリコプター部隊が報復に村を襲う。

イスラム系のチェチェンは19世紀以来、ロシアの支配に抵抗している。そして長い紛争は今もなお続いている。

カンヌ映画祭国際批評家協会賞、観客賞、ソチ映画祭、カルロヴィバリ映画祭グランプリ。