歴史上初めてのジプシー女性詩人の生涯
ポーランド、ヨアンナ・コス=クラウゼ、クシシュトフ・クラウゼ監督
1910年、女の子が産まれた、母親はパプーシャ(人形)と名付けた。
21年、パプーシャは文字を学ぶ、25年、無理やり結婚させられる、39年、戦争が起こり、ナチスによるジプシーへのジェノサイドが始まる、49年、ポーランドの秘密警察に追われた若い詩人イェジを匿う。
52年息子が亡くなる、政府の定住政策が実施される、「ポーランドのジプシー」が出版され、ジプシーの秘密を外部にもらしたとパプーシャ一家は村八分になる、ジプシーのアイデンティティを失ったパプーシャは精神病院に収容される。
71年、彼女の詩を大臣が表彰する、貧しさの中、夫が亡くなる・・それぞれの時代のエピソードが交錯して描かれる。
ジプシーは「盗み」「占い」「舞踏」「演奏」で生計をたてていた。彼らには過去も未来もなくただ貧しい現在があるだけだった。ジプシーの社会は閉鎖的だった。
美しいモノクロ映像と哀愁を帯びたジプシー音楽、文字を使わないジプシーたち、だから詩というものを知らなかった。彼らは記録を残さない文化の中で生きていた。
いつも黒い雲の下、馬車はすすむ、「♪いつだって飢えて、いつだって貧しくて、旅する道は悲しみに満ちている・・・♪」