自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ふたつの部屋、ふたりの暮らし 2019年

ふたりでひとり

フランス、ルクセンブルク、ベルギー、フィリッポ・メネゲッティ監督 95分

オープニングシーン、黒の服を着た少女と白の服を着た少女がかくれんぼをしている。木のうしろに隠れた白い服の少女が消えてしまう。

黒い服の少女は叫び声をあげるがそれはカラスの鳴き声だった。

南仏、モンペリエのアパルトマン、最上階の向かい合う部屋に住む70代女性ニナとマドレーヌは仲の良い隣人同士だった。じつは二人は長年愛し合ったレズビアンだった。二人はアパートの部屋を売却してローマに移住しようと計画していた。しかしマドレーヌは娘と息子にそのことを話すことができなかった。

 

ある日、マドレーヌは脳卒中で倒れて緊急入院する。言葉が話せなくなり、車いすの生活になる。

ニナはマドレーヌのことが心配で、彼女の傍にいようとするが、家族でもない単なる隣人ではどうすることもできなかった。とうとうニナはエキセントリックな行動に出る。

 

ラストシーン、二人は懐かしい曲を聴きながら踊る。まるで黒い服の少女がかくれんぼで消えた白い服の少女を見つけたような幸せな気分だった。

 

ほとんどスリラーあるいはサスペンスといってもいい作品だった。フランス映画らしい細やかな心理描写が緊張感を高めてゆく。