自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

淪落の人 2018年

「淪落」とは「落ちぶれる」「みじめな」という意味

香港、オリヴァー・チャン監督、112分

香港の公営住宅、事故で半身不随となり、車いす生活を余儀なくされている中年男チョンウィン。妻とは離婚し、息子とも離れて暮らしていた。

家政婦を募集するが、唯一の友達ファンの紹介でやってきたのは若いフィリピン女性のエヴリンだった。

しかし彼女は広東語を話すことができず、チョンウィンは英語ができなかった。それでも片言の広東語と英語でなんとか意思疎通をはかっていた。エヴリンの献身的な介護で頑固なチョンウィンとの会話も弾んでゆく。

しかし彼女は離婚訴訟や家族への仕送りなどの複雑な事情をかかえており、解雇されることをいちばん怖がっていた。

 

チョンウィンはエヴリンがカメラマンになるという夢をあきらめたことを知り、高価なカメラを贈る。

女性監督らしい魅力的なシーンがある。それはエヴリンや出稼ぎに来ているフィリピン女性4人が通路を段ボールで囲み、ガールズトークをするシーンと鮮やかな色彩の服を着た4人が町を闊歩するシーンだった。

物語はバス停から始まり、一年後のバス停で終わる。エヴリンはカメラマンという夢を叶えるために旅立ち、チョンウィンは新しい家政婦を雇うために英語を学ぶ。

チョンウィンはもう「淪落の人」ではなかった。