素朴な信仰心とユーモア
イギリス、スティーブン・フリアーズ監督
1952年、アイルランド、10代の未婚の母フィロミナは父親にロスクレア修道院に入れられてしまう。息子のアンソニーは3歳の時、アメリカ人の養子に出され、以後、会うことはなかった。
フィロミナはそのことを家族には隠していたが、アンソニーが50歳の誕生日を迎えた日に、一目息子に会いたいと娘のジェーンに話す。フィロミナは息子アンソニーがホームレスになっていないか、一人ぼっちでないかと、母親らしい心配をしていた。
ジェーンはたまたま知り合ったジャーナリストのマーティンに協力を依頼する。マーティンとフィロミナはロスクレア修道院を訪ねるが、書類が焼失して行方は分からないといわれる。ところがバーの主人に修道院ではアメリカの金持ちに1000ポンドで子供を売っていたと聞かされる。
マーティンはジャーナリストの伝手をたどって、フィロミナと一緒にアメリカに飛ぶ。
1955年、アメリカ人の養子となっていたアンソニーは「マイケル・ヘス」という名になり、レーガンやブッシュの法律顧問になっていた。
意外な事実が次々と明らかになり、まるでミステリー小説を読んでいるようだった。重い題材なのにこれほど軽やかにユーモアを交えた作品はあまり記憶にない。余韻の残るいい映画だ。