ひとりひとりに天使がいる
イスラエル、フランス、エトガー・ケレット、シーラ・ゲフェン監督 82分
イスラエルのテルアビブ、結婚式場でウェイトレスをしているバディアは浜辺で海からやってきた浮き輪をつけた5歳の少女と出会う。少女は一言も話さなかった。
警察に連れてゆくが、バディアになついて家までついてくる。浮き輪をした少女はどこか子供の頃のバディアを思わせた。
新婚旅行中のケレンは骨折でホテルから出ることができなかった。夫は同じホテルに滞在している詩人の美人女性を気にかけている。しかしこの女性は自殺を考えていた。
フィリピン女性のジョイは介護ヘルパーとして気難しい老女マルカの世話をしている。ヘジョイはヘブライ語を話せなかったが、故郷に子供を残してイスラエルに出稼ぎにきていた。子どもへのお土産を買おうと店に行くが、もう売り切れていた。
この三つの物語が交錯しながら描かれる。
現実と非現実の物語が入り混じってゆくが、でも少しも違和感がない。過激な表現の映画が多いなかで、この作品は不思議な静けさに満ちた物語で心に沁みてくる。