自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

スーパー30アーナンド先生の教室 2019年

変わりゆくインドの教育事情

インド、ビカース・バハル監督 154分

1996年、インドの町パトナ、貧しい家庭に生まれたアーナンドは数学の天才だった。ケンブリッジ大学への入学許可証を得るが、その旅費や学費が出せなくて、入学を諦めてしまう。

やがて彼は予備校の経営者ラッランに見いだされ、人気講師になり裕福な暮らしを始める。しかし路上で勉強する貧しい若者と出会い、予備校の講師を辞め、私財をなげうって私塾「スーパー30」を開設する。

 

貧しいけれど意欲と能力のある若者30人を選び、無償で住むところと食事を与え、数学と物理を教える。そしてインドの最高学府であるインド工科大学への入学を目指す。

ところが予備校経営者のラッランは人気講師のアーナンドを元の予備校に戻そうと、様々な妨害をし、とうとう最後には命を狙うようになる。

 

「知は神の武器、知は正義を実現する」「王の子が王になるのではない、能力のあるものが王になる」

 

ほんのわずかな歩みだが、大きな格差のあるインド社会の変化を予兆させる作品だった。実話に基づいた物語だというところに何かしらの希望を感じさせる。社会性と娯楽性を併せ持った作品でもあった。