自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ゾディアック 2007年

未解決の実話「ゾディアック事件」

アメリカ、デビッド・フィンチャー監督、157分

1969年、ドライブにきたカップルが銃で撃たれた。女は死に、男は辛くも命が助かった。しかし男は行方不明になった。

4週間後、サンフランシスコ・クロニクル新聞社に一通の手紙が届いた。「ゾディアック」と名乗る犯人が二件の連続殺人事件の犯行声明を新聞に載せるように要求し、手紙に書かれていた暗号を解いて自分の正体を暴けという。その後も犯行声明の手紙が何通も届くという劇場型の犯罪だった。

 

クロニクル新聞社の記者ポールと風刺漫画家ロバートがこの事件に深くかかわってゆく。一方、サンフランシスコ警察のトースキー刑事とアームストロング刑事が捜査を始める。

22年後の1991年、犯人と思われる男を起訴しようとするが、男は心臓マヒで亡くなってしまう。真実は明かされないまま未解決事件となった。

 

ゾディアックは37件の殺人を告白しているが、彼の殺人として認められているのは5件だといわれている。

 

もちろん推理劇としての面白さもあるが、ゾディアックの狂気に引きずられるように、4人の人生が狂ってゆくヒューマンドラマとしてみると実に興味深い作品だった。

 

サスペンスフルな展開に比べるとすっきりとしない終わり方だったが、作りものではないリアリズムの不可解さに圧倒された。