自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

スロウ・ウエスト 2015年

西部の歩き方

2015年、イギリス、ニュージーランド、ジョン・マクリーン監督

 スコットランドの貴族で16歳のジェイは「西部の歩き方」という手引書を携え、愛する女の後を追ってスコットランドからアメリカ西部に渡った。女の名前はローズ。

 

1870年、コロラド準州、ジェイは恋人のローズを追ってアメリカ西部にやってきた。彼は賞金稼ぎのサイラスとともにローズとその父親の住むシルバー・ゴーストの森へと向かう。ところがローズと父親には2000ドルの懸賞金がかけられていた。その賞金を目当てに他の賞金稼ぎたちもローズたちの住む小屋に向かっていた。 

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ヨーロッパから貧しい移民たちがただ生き抜くためだけに故郷を捨て、アメリカ先住民の住む広大な土地に向かった。ゴールドラッシュもそれに輪をかけた。

先住民狩りという虐殺、放浪する男は「西部に夢はあるが苦労ばかり」、食いつめて荒野の交易所に押し入った夫婦は反対に殺されてしまう、残された二人の子供は荒野に置き去りにされたまま・・・開拓者魂などどこにもなかった。

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荒野の澄み切った夜空を眺めながらジェイはペガサス、大熊座、りゅう座アンドロメダ、オリオン座と天空に輝く星座の名前をつぶやく。今までの西部劇にはなかったシーンだ。

 

伝統のスコットランドの空気を、そのまま暴力的で自由なアメリカ西部に持ち込んだ新しいスタイル、斬新な感性で作り上げた英国製の軽やかな西部劇。