自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

いつか晴れた日に 1995年

19世紀初頭、イングランドの恋愛事情

1995年、イギリス、アメリカ、アン・リー監督

  19世紀初頭のイングランド南西部、サセックス州、父が亡くなり財産はすべて長男が相続した。母と分別ある長女エリノア、多感な次女マリアンヌ、おてんばな三女マーガレットの3姉妹は親戚の小さなコテージに転居し、そこで4人の暮らしが始まった。

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当時のイングランドでは女性に相続権がなく、財産のある男性といかに結婚できるかが将来の生活を左右していた。保守的で刺激的なことの少ない日常のなかで、若い女性のいちばんの関心事は恋愛と結婚だった。そして若くない女性の関心事は「うわさ話」だった。

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原作は英国の国民的作家ジェーン・オースティン(1775~1817)の「分別と多感」

彼女には「高慢と偏見「エマ」マンスフィールド・パーク」「ノーサンガー・アベイ」「説得」など六つの長編があり、ストーリーはどれも同じで、中流階級若い女性が紆余曲折を経て、理想の男性と出会い、幸せな結婚をするというもの。古臭いと思うかもしれないが、結婚と出産が女性の一大イベントなのは今も昔もそれほど変わっていないだろう。

 なぜオースティンはいつも同じ物語を創作したのだろう。

男性優位の時代の中で、オースティンが望んだものは女性の自立、自由な恋愛と幸せな結婚生活だった。しかも彼女はそれをハッピーエンドの物語にした。生涯独身だったオースティンにとってハッピーエンドこそが彼女の夢だった。