自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

カルト映画が教えてくれたこと

1982年「バスケット・ケース」

もう一度観たいと思う映画はけっこうあるものだが、それが名作、傑作だとは限らない。もちろん懐かしいということもあるが、当時の自分はどうしてこの映画に惹かれたのかを確かめたいという気持ちもある。

 

その一つがフランク・ヘネンロッター監督の「バスケット・ケース」で、破天荒で奇妙な物語だった。もちろん名作というものではなく、むしろ低予算のB級作品なのだが、カルト的な人気があるらしくて続編も撮られている。

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健康な若者ドウェインとその兄で奇形児のベイアルという双子の復讐物語。出産時に母親は死に、二人はわき腹で癒着した一つの身体の双生児として産まれた。

父親は二人を化け物と呼び、彼らが12歳の時に二人の医師と一人の獣医に分離手術を依頼する。手術で二人は分離されるが弟のドウェインは正常な少年になり、兄のベイアルは醜い奇形の身体のままゴミ袋に入れられて捨てられる。

何年かが経ち二人は父親を殺し、3人の医師を捜しだして一人一人と殺してゆく。

 ドウェインはバスケット・ケースに異様な姿をした兄のベイアルを入れて運んでいた。やがてドウェインに恋人が出来るとベイアルは嫉妬にかられて・・・。

 

当時、東京に住んでいた私は失意のどん底で、どちらに進めばいいのか迷っていた。ところが世の中にはこんな奇妙な映画を撮る人もいるものだと、変に感心してどこか救われた気持ちがした。そして平凡な考えだが「どんなことをしてでも生きていける」と吹っ切れ、余分な力が抜けた。再鑑賞してあの頃を思い出した。

 

力を与えてくれる映画と余分な力を取り除いてくれる映画があるような気がした。