太陽の光に触れてみたい
ケイティは太陽の光に当たることが出来ない100万人に一人という難病、色素性乾皮症(XP)だった。幼いころから家の中に閉じこもり、太陽の当たる場所に出ることがなかった。彼女の話し相手は父ジャックとたった一人の女友達モルガンだけだった。
7歳の頃から家の前を通る少年チャーリーを窓越しに見つめていた。彼がスケボーに乗った日も、プールに通っていた時も、坊主頭になった時もじっと見つめていた、叶う事のない片思いだった。
それから10年、ケイティは17歳になり、夜の駅のホームでギターの弾き語りをしているとチャーリーがあらわれ、やがて二人は恋に落ちる。
チャーリーと知り合って、初めてのデイト、初めてのパーティ、初めてのライブ、初めて見るシアトルの夜景・・初めて経験するたびにケイティの世界が広がってゆく。それは太陽のように光り輝くものだった。
初めての経験が多い若い時ほど時間は緩やかに流れ、初めての経験が少なくなると時間は速く過ぎ去ると言われている。ケイティは緩やかに流れる時間のなかで生きる歓びを精一杯、満喫しただろう。そして彼女の願いだった太陽の光に触れ、それを全身に浴びた。
ギター弾き語りのケイティ、その曲も歌詞も物語によく似合っていた。何のヒネリもなくストレートでそれほど感動することもなかったが、不思議とそれがかえって心地いい。
太陽の光が届かない夜、静かに味わう映画だと思った。