驚くべきことに実話に基づく物語だという
スペイン、フランス、ロドリゴ・ソロゴイェン監督 138分
スペイン、ガリシア地方の過疎の村にフランス人の夫婦、アントワーヌとオルガは移住し、野菜を栽培したり、古民家を修復したりと穏やかに暮らしていた。
しかし村人たちは貧しい暮らしをしていた。そんな時、風力発電のプロジェクトを巡ってフランス人夫婦と隣人のシャンとロレンソ兄弟との対立が激化してゆく。
村人たちは風力発電の多額の報奨金が目当てだった。しかしアントワーヌ夫妻は景観を損ねると反対していた。アントワーヌは嫌がらせをする兄弟と真剣に話し合いをするが、理想論と現実論でかみ合わずに終わってしまう。
やがて隣人の兄弟の嫌がらせはエスカレートしてゆき、とうとう予想もしなかった結果を招いてしまう。
前半は夫アントワーヌの視点で描かれるが、後半は妻オルガの視点で物語は進んでゆく。オルガは夫の遺体を探そうと必死になっていた。
フランスからやってきた娘は、そんな母に村を離れるように言うが、オルガは村に居残ると反論し、農業を続ける。
遺体が発見された後、オルガは兄弟の母親に「息子たちは刑務所に入り、あなたは私と同じように一人になるのよ、でも私はあの家にいるからなにかあったらきて」と優しく告げる。
閉鎖的な村に「理想郷」を求めて移住してきた外国人夫婦が遭遇する不安の物語だった。古くからいる者とよそ者との対立は消えることがなかった。底知れない不安感が物語を覆っていた。