ひとりにしないで
フランス バネッサ・フィロ監督
フランス、美しい海岸のコート・ダジュール、シングル・マザーのマルレーヌは8歳の娘エリーと暮らしていた。再婚相手との結婚式で新郎と違う男と抱き合っているところを見つかり破談になる。
マルレーヌは男にだらしなく酒とタバコをはなせない女だった。ある夜、マルレーヌはナイトクラブで知り合った男と出奔して、しばらく家に帰らなかった。エリーは寂しさを紛らわせるように酒を飲み、化粧をする。
ある夜、移動遊園地を彷徨っていたエリーはトレイラーハウスに住む孤独な青年フリオと出会い、父親のように慕ってゆく。
しかし「好きだから一緒にいたい。ひとりにしないで」というエリーの願いは叶えられなかった。
娘は母を愛し、母親は娘をエンジェル・フェイスと呼んで深く愛していたが、本当の愛し方を知らなかった。それは簡単なことで一人にさせないことだった。
エリーは学校劇に人魚姫の役で出演することになり、何度もセリフを練習する「私は海に住む、頭の上にはたくさんの星、上の世界を見てみたい、きれいな心がほしい、天と地の喜びも」
美しい海辺のコート・ダジュールも母マルレーヌも青年フリオもすべてが背景になり、ただ8才のエリーだけが浮かび上がってくる物語だった。
評価は分かれているが、私はいい映画だと思った。それは8歳の少女の心のうちが痛いほど伝わってきたからだ。