自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

プロジェクト・グーテンベルク 贋札王

すべてがフェイク

2018年、香港、中国 フェリックス・チョン監督

テーマもストーリーもいいのだがもう少し贅肉を絞るようにすれば、もっと面白い作品になっただろう。

f:id:hnhisa24:20210126091034j:plain

タイの刑務所から物語は始まる。投獄されている偽札犯のレイが精巧な切手を作っている。本物とまったく違わないその見事さに舌を巻くばかりだ。

レイは香港の警察に移送される。そこで尋問にあい、釈放されるために偽札事件の真相を話す。ここから回想シーンが挟まれる。

f:id:hnhisa24:20210126091129j:plain

2年前の1985年、レイは同じ画家で恋人のユン・マンとカナダのバンクーバーで暮らしていたが、ユンは才能が認められ個展を開き絵が売れる。

だがレイには才能がなく失意の日々を送る。ある日、「画家」と名乗る偽札集団のボスから「心を込めれば偽物も本物になる。最高の偽札は世界でもっとも愛される複製画だ」とレイは誘われる。やがて偽造画家の才能があったレイは偽札づくりに没頭してゆく。

f:id:hnhisa24:20210126091210j:plain

 紙幣を印刷するには凸版印刷機ではなく凹版印刷機が必要だった。それは世の中にほとんどなかった。そして無酸紙も政府が独占していた。特殊インクは強奪する計画だった。それらの障害を乗り越えて本物以上の米ドルの偽札が出来上がる。

 

しかしレイの供述はどこかおかしい。やがて死んだと思っていた「画家」が現れ自白したレイの命を狙う。

 

私は騙されたが、おそらく誰もが騙されるだろう。ラストシーンの驚き、すべてがフェイクだった。私たちがつかまされたのは偽札だった。