戦争と犬と男と女
フランス、ベルギー、ジャン・ベッケル監督
第一次大戦が終わった1919年の夏、フランスの片田舎、復員兵のジャック・モルラックが営倉に留置されていた。
彼を軍事裁判にかけるかどうかを判断するために軍判事のランティエ少佐がやってくる。その営倉の前では一匹の犬が夜も昼も吠え続けていた。
少佐はジャックに尋問するが彼は黙秘を続け有罪を望んでいた。彼はいったいどのような罪を犯し、なぜ有罪を望んでいるのか、私たちにはわからない。ランティエ少佐は犯罪の動機を調査する。
ジャックには村はずれに住む妻ヴァランティーヌと幼い息子がいた。
少佐はヴァランティーヌに会いに行くが、彼女もまた何も話さなかった。少佐にとってこれは最後の任務だったので、できればジャックを無罪放免にしたかった。
やがて私たちは彼が国家侮辱罪に問われていることを知る。しかしレジオン・ドヌール勲章をうけた英雄のジャックがなぜ国家侮辱罪に問われているのか。
傑作というわけではないが、1919年という時代背景とフランスの田園風景、今とは違いゆったりと流れる時間、そして悪人の出てこないストーリー展開で心地いい作品だった。
戦争を告発する作品というよりも、いかにもフランス映画らしい田舎町を舞台にした戦争と犬と男と女の物語だった。
ちなみにジャン・ベッケル監督の「クリクリのいた夏」は私の好きな映画だ。