自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

アイ・アム・デビッド 2003年

母への思いを胸に、少年はひとり北に向かう

アメリカ、ポール・フェイグ監督

第二次大戦後、共産主義の東欧では反体制派の人々は収容所に入れられ、過酷な労働を強いられていた。1952年、ブルガリアのペレネ収容所、12歳のデビッドは幼い頃から収容所内で育ち、外の世界も美しいものも知らなかった。

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デビッドはある男の助けで収容所を脱走し、一つの封書を届けるためにデンマークに向かう。デビッドが「デンマークに何があるの」と訊くと「自由だ」という答えが返ってきた。

 

デビッドはギリシア、イタリア、スイスと逃避行を続け、そこで様々な人たちと出会う。

脱走するときに「誰も信じるな」と教えられていたデビッドだが。スイスで絵を描いていた老婦人ソフィーから「人の善意を信じるのよ、それでなきゃ、幸せになれないわ」と言われる。

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町の書店に「旅と悲しみ」という本が置かれていた。それは夫を殺され、幼い息子を連れ去られた女性の手記だった。ソフィーは封書の中の書類を見て、その女性こそがデビッドの母親だと知り、連絡を取る。

 

デンマークの空港でデビッドを迎える女性がいた。それはデビッドの夢に何度も現れてきた女性だった。デビッドは「アイ・アム・デビッド」と話し始める。

 

デビッドの脱走を助けた男とは一体、誰なのか。それは予想もしなかった人物だった。その驚きがいつまでも残り、この映画を忘れられないものにしていた。