自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

大砂塵 1954年

最初から女同士の戦いだった

アメリカ、ニコラス・レイ監督

西部に鉄道が敷かれ、開拓時代が終わろうとしていた1890年代のアリゾナ州、ギター弾きのジョニーは砂塵の吹き荒れる町はずれの酒場にやってきた。酒場の女主人ヴィエンナとはかつて恋人同士だった。

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ヴィエンナは町民たちにアウトローのダンシング・キッド一味と仲間だと思われていた。

町の女性エマはキッドに恋心を抱いていたが相手にされなかった。キッドはヴィエンナに惚れていたからだ。気性の激しいエマは嫉妬心からヴィエンナに強い憎しみを抱いていた。

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ヴィエンナには鉄道が敷かれると土地が高騰するという目論見があった。町民はよそ者が入ってくるのを嫌って鉄道に反対していた。

 

エマは保安官や町長や町民たちを煽り立ててヴィエンナを追い出そうとする。そんな折、キッド一味が銀行を襲う。ヴィエンナも共犯だと思われ、酒場を燃やされ、縛り首されそうになる。エマの憎しみをあらわすような酒場の炎上シーンは圧巻だった。エマの歪んだ顔が炎で赤く照らし出される。

 

町長の「最初から女同士の戦いだった」という一言がこの映画をうまく言い表している。だからなのか女二人には男たち以上の存在感があり、とくにエマの存在は強烈だった。

哀愁を帯びた主題歌「ジャニーギター」がいつまでも耳に残る少し異色の西部劇だった。