自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

プロミシング・ヤング・ウーマン 2020年

罪なき傍観者たち

アメリカ、エメラルド・フェネル監督

カフェの店員キャシーは30歳を目前にしていたが、夜ごとに街にでかけ酔っぱらい、男を誘っていた。しかし彼女は酔っぱらったふりをして男たちに苦い思いをさせていた。

なぜそんなことをするのか、目的は女を漁る男たちへの復讐だった。キャシーが医大生だった10年前、同じ医大生で親友のニーナがパーティで医学生の男にレイプされ自殺していた。それがキャシーのトラウマになっていた。

事件をもみ消した女性学部長や弁護士を糾弾する。

 

ある日、カフェに医大生時代の同級生ライアンが現れたことから、ストーリーは大きく展開してゆく。キャシーはライアンを愛するようになるが、彼もまた「罪なき傍観者」だったと知り、ニーナを死に追いやった者たちへの復讐を決意する。

そして山小屋のパーティに向かう。

山中で死体を燃やすシーンがある。身体は燃え尽きるが手は焼け残っていた。焼け跡に5本の指が見える。このシーンにはただ茫然とするばかりだ。

 

ポップで衝撃的な復讐劇であり、久しぶりに素晴らしいストーリーの作品に出会った。このような「復讐劇」は初体験だった。意外な展開と結末に言葉を失い、これは紛れもなく一級品のエンターテインメントだと思った。