自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ドクター 1991年

医者もいつか患者になる

アメリカ、ランダ・ヘインズ監督

ジャック・マッキーは優秀な心臓外科医だった。ジャックには妻と息子がおり、大きな家に住み、順風満帆の日々を送っていた。

ところが喉の調子が悪く、MRIや生体検査をすると喉頭がんだと分かる。治癒率80%という放射線治療をするが、効果はなかった。

患者となったジャックは医師たちが患者のことを顧みない態度に怒りを覚える。ジャックは自分を支えてくれるものを求めていた。やがて末期の女性がん患者ジューンと知り合う。

 

愚痴をこぼすジャックにジューンは「叫びなさい、屋上から飛び降りなさい、いやなら闘うのよ」と励ます。そして「私の一番素敵な時間を知っている?それは今よ」と「生きていること」を満喫するように二人は軽やかに踊り続ける。

ジャックは咽頭の腫瘍の切除という外科手術を決意する。それは声帯を失うかもしれない危険な手術だった。事務的な耳鼻科の女医レスリーから、患者思いのブルムフィールド医師に執刀医を替える。

 

一方、死を予感したジューンはジャックに手紙を送っていた。そこに書かれていた「案山子の話」がジャックを変える。

 

重い題材のはずが、不思議なことにどこかラブロマンスを思わせる軽快な作品になっていた。