自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

シビル・アクション、1999年

実話の苦さと爽快さ

アメリカ、スティーブン・ザイリアン監督

ボストンで仲間3人と弁護士事務所を開いているジャン・シュリトマンは障害裁判専門の弁護士だった。まず採算の取れる訴訟かどうかを考え、そして企業から莫大な示談金を得ていた。その示談金でジャンたちは豪勢な暮らしをしていた。

小さな町ウーバンで12人が白血病になり、そのうち8人の子供が亡くなった。被害者家族たちから原因の究明を頼まれる。しかしその依頼はどの弁護士からも採算が合わないと断られていた。ジャンは排水を流している大企業が示談に応じると考え、仕事を引き受ける。

 

しかし皮革工場の出す排水が原因と証明するためには、莫大な資金が必要だった。裁判を起こすが大企業の老獪な弁護士ファッチャーの反撃にあい訴訟は却下される。やがてジャンは仲間を失い、破産し、借金だけが残った。完敗だった。被害者家族たちは賠償金より謝罪を求めていた。ジャンは国家に正義を求め、ある行動に出る。

ジャンはベテラン弁護士ファッチャーに冷ややかに言われる「真実なんか探しても無駄だ。法は必ずしも正義の味方ではない」

 

傑作と言われる法廷劇はたくさんある。それらとは違って「シビル・アクション」は正義の弁護士が裁判に勝つという物語ではない。この映画には実話のもっている苦さと爽快さがある。