「在英20年のライターが、いま欧州に吹く風を日本に届けるべく、熱い思いとクールな筆致で綴った政治時評」
社会保障の削減。貧困の拡大。緊縮財政によって未来を奪われる若者や労働者たち。
地べたから見るグローバリズムとは、労働する者を舐めくさった経済である。
労働者階級のこどもは芸能人にもサッカー選手にもなれない時代。
欧州で新左派が躍進しているのは、彼らが「負ける」という生暖かいお馴染みの場所でまどろむことをやめ、「勝つ」ことを真剣に欲し始めたからだ。右傾化する庶民を「バカ」と冷笑し切り捨てるのではなく、その庶民にこそ届く言葉を発することだ。
「与党も野党も大差なし」と醒めていた人々に,いまとは違う道は存在することを示す政治家たちが登場した。トムとジェリーのように「仲良く喧嘩」している与党と野党。
現在の政治状況はイデオロギーによる右と左の対決ではなく、極端な経済格差による上と下の対決だ。極端な経済格差で失われるものは「人間としての尊厳」
労働党の内紛、世代間対立、階級闘争の激化、ヘイトクライムの増加、保守党右派によるさらなる緊縮。EU離脱で英国に分裂とカオスの時代がやってきた。
スペインやギリシアなど欧州の政治状況は混とんとしている。
最後に彼女は「地べたのことを知りたければ地べたに向かうしかない。わたしの次の目的地は日本である」と書いている。