自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた 2018年

人生の中に音楽があり、音楽の中に人生があることの歓び

アメリカ、ブレット・ヘイリー監督

ブルックリン、元ミュージシャンのフランクは17年間続けてきたレコード店を閉めることになる。彼の母は認知症で妻は亡くなっていた。娘のサムはロサンゼルスの医大への進学が決まっていた。二人はジャムセッションで曲作りをして、音楽を楽しんでいたが、それも終わりだった。

二人で作った曲「ハーツ・ビート・ラウド」をスポティファにアップすると、レコーディングの誘いがきた。ミュージシャンの夢を諦めきれない父フランクと医学への道を目指す娘サムの物語。

 

閉店セールを迎え、レコード店で父と娘は初めてのライブをする。最初、店内には6人の客しかいなかったが、徐々に増えてゆく。

このライブシーンがこの映画のハイライトだった。演奏し歌われるのは3曲だけだが、私たちは気が付かないうちにリズムをとり、スウィングしている。実際のライブ会場にいるような気分になる。

二人がミュージシャンとして成功する物語ではなかった。ふたりは大切なものを手放してそれぞれの道を歩んでゆく。