インタビューで構成されたジャズピアニストの生涯
フランス、ドイツ、イタリア、マイケル・ラドフォード監督
1962年、フランスの音楽一家に生まれたミシェル・ペトルチアーニは身体中の骨が折れた状態で産まれた。骨形成不全症という遺伝的な障害だった。
長生きしないだろうと言われていた。
成人してからも身長は1メートルで自力では歩くことが困難だった。しかし彼にはピアノと音楽の才能があった。彼の存在そのものが音楽だった。
13歳でプロデビューし、ジャズの本場、アメリカに行く。半年で英語をマスターした。演奏中に足や手の骨を折ることもあったがその痛みに耐えた。彼はピアノに一生を賭けた。
普通の人がピアノを弾けば単にピアノの音がするだけだ。しかしチック・コリアやモンクやビル・エヴァンスが弾けば彼らの音がする。それと同じようにミシェルが弾くとミシェルの音がした。不自由な身体で鍵盤を叩く姿は鬼気迫るものがあった。
女性遍歴が盛んで、5人の女性と結婚や同棲を繰り返した。やがて老化の進行がはやくなり、1999年、36歳で亡くなった。彼の息子も遺伝的な骨形成不全症だった。
音楽と女性を愛し、活力と欲望に生き、数奇な人生を駆け抜けていった男のドキュメンタリー。