ハートウォーミングな贈りもの
フランス、フィリップ・ミュイル監督 85分
パリ、8歳の少女エルザは看護助手の母親との二人暮らしてだった。25歳の母親は仕事や友達との付き合いで忙しくて、エルザと過ごす時間が少なかった。
「ママは私のことが好きなのかな」とエルザは寂しかった。
同じアパートに住むジュリアンは蝶の蒐集が趣味の元時計職人の老人だった。彼は幻の蝶「イザベル」を探すために南フランスにでかける。その車の中にエルザがこっそりと隠れていた。
家に帰すことも出来ず、美しい自然の中を「イザベル」を探して二人は旅を続ける。頑固な老人と生意気な少女との会話は可笑しくて楽しいものだった。やがて二人は手を繋いで歩くようになる。山小屋や農家に泊まり、まるでキャンプのようだった。
山の風景、草原、花、蝶がとても美しい。
ジュリアンには「イザベル」を蒐集しなければならない隠された理由があった。
誘拐騒ぎで二人はアパートにもどる。部屋に保存していた蛹(さなぎ)が羽化する瞬間を二人で観察していると、なんとその蛹は美しい蝶に変貌した。「イザベル」だった。パリの夜空へ飛んで行く。
幻の蝶「イザベル」は遠くではなく、すぐ近くにいたのだ。そしてエルザは母親に「愛している」と抱きしめられる。母親の名前もイザベルだった。