私は告発する
フランス、イタリア、ロマン・ポランスキー監督
１８９４年、フランス陸軍のユダヤ人ドレフュス大尉がドイツ軍へのスパイ容疑で終身刑を言い渡され悪魔島へ送られる。
新任の諜報部長のピエール中佐は事件を探るうちに、ドレフュスは無罪であることが分かる。軍部による隠ぺい工作や証拠の捏造が行われていたのだ。
しかし将軍たちはその事実をもみ消そうとする。軍事裁判が間違っていたと認めることは軍の威信にかかわることだった。やがてピエール中佐は左遷されてしまう。
作家エミール・ゾラの「私は告発する」が新聞紙上に載り、世論を二分する論争が起こる。
ちなみにゾラの視点からドレフュス事件を描いたのが映画「ゾラの生涯」で、これは法廷シーンが秀逸なアカデミー作品賞受賞作だった。
機密文書の保管、スパイ活動、決闘など時代性を帯びているが、これは現代の物語だとも言える。
後年、ピエール中佐は将軍になり、ドレフュス大尉は少佐になった。ドレフュス少佐はピエール将軍と会見し、中佐への昇進を申請した。しかしピエール将軍はそれを断った。
共通の敵と闘った二人の立場の違いだけではなく、ここにはフランスとユダヤの越えられない壁があったのかもしれない。反ユダヤ主義がヨーロッパを覆っていた時代、この事件が後のナチズムにつながってゆく。
