自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

フェイブルマンズ 2022年

「出来事には意味がある」と母が言った

アメリカ、スティーブン・スピルバーグ監督、151分

1952年、ニュージャージー州、幼い少年サミー・フェイブルマンは両親に連れられて初めて映画を観た。

列車が車と衝突して脱線するシーンに彼は大きな衝撃を受けた。母親から8ミリカメラを買ってもらい、プライベート・フィルムを撮り始める。

父親の仕事先が変わり、アリゾナ州カリフォルニア州へと引っ越ししてゆくフェイブルマン一家。

1964年、高校生になったサミーはユダヤ人差別のイジメにもあっていたが、ガールフレンドも出来て、16ミリカメラで卒業記念の映画を撮る。

 

ピアニストで芸術家肌の母、エンジニアで実利派の父、そして父の友人ベニーとの三角関係が明らかになり、やがて両親は離婚する。

大学生になったサミーは映画の仕事を探していたが見つからなかった。そんな折、CBSがサミーを助手の助手として採用してくれた。そしてプロデューサーがある監督のもとに彼を連れてゆく。

 

ニュー・シネマ・パラダイス」を期待すると裏切られる。フェイブルマン一家の家族ドラマであり、サミーと母親の「魂の叫び」が聴こえてくるような映画だった。

 

サミーがある監督と出会うラストシーンには震えるような感動があった。もうそれだけで満足できる作品だった。