自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

秘密と嘘 1996年

どの家族にもある「秘密」

イギリス、マイク・リー監督

反抗的な21歳の娘ロクサンヌとオンボロアパートで暮らすシングルマザーのシンシア。彼女の弟モーリスは、写真館を経営するカメラマンだった。モーリスは妻と二人暮らしで、一年前に新築した家に住んでいた。

モーリスはロクサンヌの誕生日パーティーを新築の家で開こうとシンシアに提案する。

一方、養子だった検眼師の女性ホーテンスは、最近、育ての母を亡くし、産みの母を探し始める。じつはホーテンスは白人のシンシアが16歳の時に黒人男性との間に産んだ娘だった。顔も見ずに養子に出したので、まさか黒人だとは思ってもいなかった。

 

シンシアとホーテンスは戸惑いながらもカフェで会い、食事をして、打ち解けあってゆく。

 

モーリスと妻モニカ、シンシア、ロクサンヌと恋人ポール、ホーテンス、そしてモーリスの助手ジェーン、7人が揃った誕生パーティーで「秘密と嘘」が明らかになってゆく。シンシアとホーテンスは苦痛を覚悟で真実を話してゆく。

この映画のハイライトシーンだ。

それぞれの傷が明らかになってゆくと、モーリスが「誰もが傷を負っている。みんなで分け合えばいい」と話す。ラストシーン、シンシアが言う「人生っていいわね」

 

イギリス映画らしい骨太で正統派の名作だった。カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。