おぞましいものがあふれている
タイ、韓国、バンジョン・ピサンタナクーン監督、131分
2018年、タイ東北部、女神バヤンの巫女ニム、彼女と同じ祈祷師一族の血を継ぐ姪のミンが原因不明の体調不良に見舞われ、凶暴な言動を繰り返すようになる。
周りの人々はもしかしたらミンは女神バヤンの巫女の後継者として選ばれたのではないかと思う。
ニムの元を訪れていた取材班は巫女の世代交代が行われるのかもしれないとカメラを回し続ける。そして代替わりの儀式を捉えようとする。
このようなドキュメンタリータッチで始まった物語は、意外な方向へと進んでゆく。
ニムはミンのために祈祷をするが効果はなかった。もっと巨大で恐ろしい悪霊がミンに取り憑いていたのだ。ミンはテーブルの上で放尿し、飼い犬を茹でて食ってしまう。
物語は途中から禍々しいものになってゆき、最後はゾンビ映画のようになった。
そして儀式や祈りの先に救いはなかった。結局、女神バヤンはどこにもいなくて一族に取り憑いた悪霊だけが残った。
東洋的なオカルトホラーと西洋的な「エクソシスト」「ゾンビ」が合わさったような映画だった。むしろタイの土俗性を強調したホラーにしたほうが、もっと不気味な作品になったように思う。