じっと死を見つめる
フランス、エマニュエル・ベルコ監督 122分
演劇講師で39歳のバンジャバンは末期がんだった。母クリスタルと共に名医エデの診察を受けるが、ステージ4のすい臓がんで、余命は半年から一年だと言われる。
そして症状を緩和する化学療法を勧められる。
自暴自棄になるバンジャバン、彼には若い頃に母に無理やりに別れさせられた女性と認知していない息子がいた。息子は父バンジャバンに会いに行こうとするが決心がつかなかった。
母クリスタルはバンジャバンの最期を安らかなものにしようとするが、彼は徐々に体力も生きる気力もなくしてゆく。
エデ医師は最期に愛する人に伝える言葉として「赦してほしい、あなたを赦します、愛している、ありがとう、さようなら」の5つの言葉をクリスタルとバンジャバンに伝える。
辛い物語でもなく単なる感動作でもなかった。余命を宣告されてどう生きるのか、死とどう向き合うかを真摯に探ってゆく物語だった。
死と直面したバンジャバンの戸惑い、怒り、絶望が自分のことのように迫ってくる。おそらく高齢者が観ると身につまされるだろう。