実話から着想された物語
フランス、ポール・バーホーベン監督 131分
17世紀イタリア、ペシアの町、奇跡を起こすと言われる6歳の少女ベネデッタはテアティノ修道院に入る。
18年たって成人したベネデッタは、父親に虐待され修道院に逃げ込んできた若い女性バルトロメアを助ける。やがて二人は同性愛の関係になってゆく。
ベネデッタはキリストの幻影を見るという神秘体験をしていた。
ある日、仮死状態から蘇ったベネデッタは聖痕を身体にうけて、キリストの花嫁になったと思われ、新しい修道院長に任命される。彼女は民衆から聖女とあがめられ、巨大な権力を手にする。「自分は神に選ばれている」
神の声を聞き、神の姿を見たというベネデッタ、一方、神を信じていなかった元修道院長は「神の声が聞こえなかった」という。
元修道院長はベネデッタとバルトロメアの同性愛行為を教皇大使に直訴する。教皇大使はベネデッタに火刑の判決を言い渡す。しかし民衆は抗議の声をあげる。
時はヨーロッパに黒死病(ベスト)が蔓延していた時代だった。夜空を赤く染めた不吉の彗星が出現し、ペストの恐怖に怯える民衆。
中世の宗教的世界が異世界に見えるような暗く陰鬱な映像が心に残る作品だった。