自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

岩波書店編集部編 私の「貧乏物語」

蛭子能収

「ピザって食べたことある?」と私が聞くと「いや、ない」と女性。「俺もない」・・お互いの仲が深まっていくような夜になった。

「結局、この女性と私は結婚することになる。まだ私は職業がはっきりせず、配達やチリ紙交換、いろんな仕事で何とか食っていたという時代だった。これから稼げる、という頃に彼女は病気で亡くなってしまったのだ」

佐高信

「中学時代、同級生に成績のいい小柄な女性がいた。家庭が裕福でないので、就職することが決まっていた。・・担任の教師が進路志望の調査だということで、進学か就職かのどちらかに手を挙げさせた。

その時、彼女は進学に挙手したのだ。驚いた担任が『キミは?』と問い返す。『だって希望でしょう』と彼女は手を挙げ続けた。そう言って担任を見返した彼女のキッとした表情が私は忘れられない」

鳥 居

私は、母子家庭(虐待あり)に生まれ→家族を喪い孤児院(虐待あり)に入り→転々とし→ホームレスとなり→今はアパートで一人暮らしている二十代の無職(時々、歌人)です。

転々としていた頃、私はDVシェルターにいました。今思えば、入所している私たちには、自罰的な傾向があったように思います。虐待を受けたのは、夫に暴力をふるわれたのは、人身売買に遭ったのは、「どこか自分に非があったから」。