実録ドラマのおもしろさ
アメリカ、ジョイ・ローチ監督 124分
ロスアンゼルス、赤狩りが猛威をふるっていた40年代後半から50年代、一流の脚本家ダルトン・トランボは下院非米活動委員会から召還をうける。
証言を拒否したことで投獄され、一年後釈放されるがハリウッドでの居場所を失ってしまう。トランボはハリウッドを追放された10人の映画人(ハリウッド・テン)の一人だった。
彼は偽名で「ローマの休日」「黒い牡牛」「スパルタカス」「栄光への脱出」といった優れた脚本を次々と世に送り出す。
そして生活のため、B級映画の脚本も執筆し、家も売り払って引っ越しする。トランボはバスタブの中でタイプを打ちながら脚本を書き続けた。
「ローマの休日」「黒い牡牛」でアカデミー賞を受賞し、ハリウッドテンやブラックリストを有名無実なものにしてゆく。
この映画では実名で多くの映画人が登場する。ジョン・ウェイン、エドワード・G・ロビンソン、カークダグラス、オットー・プレミンジャー。そして当時のニュースフィルムを巧みに織り交ぜている。
トランボは1970年のロスで「家族が私を救ってくれた。傷を修復するために仕事をした」と演説した。誰も恨もうとせず、赤狩りの無意味さを訴え、被害者がいただけだと言う。
トランボを演じたブライアン・クランストンがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされている。その他、ダイアン・レイン、エル・ファニング、ジョン・グッドマン、ヘレン・ミレンなどの存在も見どころの一つだった。地味な物語だが、テンポもよくて引き込まれる映画だった。