自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

マジェスティック 2001年

リアルな赤狩りとファンタジックな映画館

アメリカ、フランク・ダラボン監督 153分

1951年、「赤狩り」が猛威を振るっていた時代。新進脚本家のピーターもその渦に巻き込まれてゆく。ピーターはある日、自動車事故で記憶を失ってしまう。

 

たどり着いた小さな町ローソン、この町では多くの若者が戦死して、町の人たちに大きな傷を残していた。ピーターは戦地で行方不明となっている青年ルークと間違われ、英雄として大歓迎される。町は「青年ルーク」という希望を必要としていたのだ。

彼を息子だと信じた老人ハリーは老朽化した映画館「マジェスティック」の再建にピーターと共に取り組んでゆく。

一方、非米活動委員会とFBIはピーターが共産主義者であり、逃亡したと思い込み、行方を捜し始める。

この映画にはダラボン監督の「赤狩り」での苦い体験が盛り込まれていた。非米活動委員会の証言でピーターは「自由なアメリカ」のために戦死した若者たちに恥じないような国であるべきだ。だから「赤狩り」は間違っていると訴える。

 

ピーターが合衆国憲法の修正第一条を掲げて証言するシーンは、映画「ゾラの生涯」の見事な法廷シーンを彷彿とさせた。