自由に気ままにシネマライフ

映画に関する短いエッセイとその他

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ビフォア・サンセット 2004年

いくら話しても話し足りない アメリカ リチャード・リンクレイター監督 1995年の映画「恋人たちの距離(ディスタンス)」の続編。 9年前、ジェシーとセリーヌはウィーンの街を会話しながら夜明けまで歩き続け、半年後の再会を約束して別れた。ところが…

プロジェクト・グーテンベルク 贋札王

すべてがフェイク 2018年、香港、中国 フェリックス・チョン監督 テーマもストーリーもいいのだがもう少し贅肉を絞るようにすれば、もっと面白い作品になっただろう。 タイの刑務所から物語は始まる。投獄されている偽札犯のレイが精巧な切手を作ってい…

森本あんり「宗教国家アメリカの不思議な論理」

神学的な観点がないとアメリカを理解できない 「神は、従う者には恵みを与え、背く者には罰を与える。自分は成功し、恵まれている。だから神は自分を是認している。自分は正しい」という勝者の論理がアメリカを貫いている。 このアメリカ的な精神や論理を露…

CLIMAX クライマックス 2018年

地獄と極楽は紙一重 フランス、ベルギー、ギャスパー・ノエ監督 若いダンサーたちへのインタビューという平凡なシーンから始まる。ダンサーたちは自信満々に将来の夢を語る。 男女22人のダンサーたちはアメリカ公演のために厳しいリハーサルをおこなってい…

ジョジョラビット 2019年

なぜかノスタルジー アメリカ タイカ・ワイティティ監督 第二次大戦末期のドイツ、10歳のジョジョは美しい母ロージーと暮らしていた。父はイタリア戦線で戦っていると聞かされていた。ジョジョは「ヒトラーユーゲント」の団員として毎日訓練に励んでいたが…

マイ・ボディガード 2004年

リベンジ映画の快作 アメリカ、メキシコ トニー・スコット監督 今も昔もつまらない映画はたくさんある。つまらない映画が続くと気分転換に肩の凝らない面白い映画を観ることがある。それが「マイ・ボディガード」だった。 貧富の格差の大きなメキシコでは誘…

小堀純編「中島らもエッセイ・コレクション」

中島らもの世界を測る物差しが見当たらない 規格外の男、中島らもにも師匠がいた。 「先生ごぶさたしています」「おう、中島か、何や」「何やって、先生がこの前、たまには顔でも見せんかバカ、って電話くださったから」「ふうん、で・・・何しにきた」「何…

グリーンブック 2018年

一つのクリスマス・ストーリー アメリカ ピーター・ファレリー監督 1962年、ニューヨーク、ナイトクラブの用心棒トニーはクラブが改装のために、しばらく閉鎖されることになり、黒人ピアニストのドクター・シャーリーの南部ツアーの運転手として雇われる…

ゴッドファーザー 1972年

男の映画 アメリカ フランシス・フォード・コッポラ監督 この映画を最初に観たのはずいぶん前のことだったが、それほど印象に残る作品ではなかった。それから十何年か後に再鑑賞したとき、映画に魅入られながらラストシーンには身体が震えたことを覚えている…

マイ・エンジェル 2018年

ひとりにしないで フランス バネッサ・フィロ監督 フランス、美しい海岸のコート・ダジュール、シングル・マザーのマルレーヌは8歳の娘エリーと暮らしていた。再婚相手との結婚式で新郎と違う男と抱き合っているところを見つかり破談になる。 マルレーヌは…